「QAエンジニアは将来性がない」「仕事が単調でつまらない」といったネガティブな評判を聞き、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
特に未経験からキャリアチェンジを検討している人にとって、QAエンジニア(Quality Assurance Engineer:品質保証エンジニア)の実態は気になるところです。
本記事では、現役QAエンジニアである さっしーさん のお話しから、ネット上にあるネガティブなコメントの真偽を検証します。QAエンジニアの仕事のリアル、将来性、そして向いている人の特徴まで詳しく解説します。
お話してくれる人
さっしーさん
サービス業や営業職からエンジニア未経験でラクスパートナーズに転職し、研修を受けてQAエンジニアとして活躍中。
目次
QAエンジニアにまつわるネガティブな評判の真実
QAエンジニアへのネガティブな評判・意見をもとにした疑問を、さっしーさんにぶつけてみました。実態を見ていきましょう。
疑問①「将来性がない」は本当か?
ネット上の意見:「将来性がない」
QAエンジニアの仕事はAIに取って代わられるのでは?開発エンジニアに比べてキャリアパスが狭いのでは?
現役エンジニアの回答:少なくともここ数年は将来性がないことはない
50年後のような先のことまではお約束できませんが、少なくともここ数年はQAエンジニアの将来性がないということはないと思います。
近年、開発チームから独立してテスト専門のチーム(QAチーム)を新設・増員したいという顧客ニーズが急増しており、QAエンジニアという役割が企業内で確立しつつあります。
システムの複雑化と開発スピードの向上に伴い、QAエンジニアが果たす役割の重要性が高まっています。

また、QAエンジニアは経験を積むと「品質でビジネスをリードする専門家」になっていきます。そのキャリアは多岐にわたり、自分の適性に合わせた選択が可能です。
- スペシャリスト(技術を極める) 高度なテスト戦略を立てる「シニアQA」や、自動化を推進する「SDET」など、技術で現場を支える道。
- マネジメント(組織を率いる) チームを統括する「QAマネージャー」から、組織の品質方針を決定する「QA責任者」まで、マネジメントを担う道。
- コンサルティング(戦略を担う) 開発プロセス全体を見直し、品質向上に向けた戦略立案を行う「QAコンサルタント」への道。
- キャリアチェンジ(経験を横展開する) 顧客視点の強みを活かし、プロジェクト全体を動かす「プロジェクトマネージャー」や、製品企画を担う「プロダクトマネージャー」へ転身する道。
どの道を選んでも、「ユーザーに価値を届けるためにプロセスをどう最適化すべきか」という、どのIT職種でも高く評価される普遍的なスキルが身につきます。
疑問②「作業が単調で長時間労働」は本当か
ネット上の意見:「作業が単調で長時間労働」
単調なテストケースの実行を長時間繰り返すイメージがあるし、特にリリース前は残業が多くてきついのでは?
現役エンジニアの回答:「単調さ」は捉え方次第、「長時間労働」は現場による
QAエンジニアは、開発者が作ったものに対して品質をチェックする仕事のため、いわゆる「ゼロからイチを生み出す」仕事ではないことから、「単調」と感じる部分があることは否定できませんが、つまらないと思ったことはないですね。
また、残業の有無は会社やチームの規模にもよるので一概には言えませんが、私自身は残業したことがほとんどありません。
テストは回数を重ねるごとにバグが見つかる数が増えたり、特定の端末でだけ問題が起きたりします。その中からアプリ改善の提案ができたりもして、やればやった分だけそこから派生するやりがいのある仕事でもあります。

労働時間については、QAエンジニアが残業しなければならないような環境であれば、おそらく開発のエンジニアも残業せざるをえない状況でしょう。QAエンジニアだから長時間労働が多いというわけではありません。
疑問③「バグとの戦いで精神的に疲れる」は本当か?
ネット上の意見:「バグとの戦いで精神的に疲れる」
バグを見つけるプレッシャーを感じたり、ユーザーの不満を背負ったりして疲弊するのでは?
現役エンジニアの回答:心配性な人ほど向いている
バグが見つかることをポジティブに捉えられるかどうかは人によりますが、バグが見つかることは、むしろやりがいであり、「テストができてよかった、楽しい」と思いますね。
反対に、バグが全くない状態だと「テスト漏れがないか」と考えます。テストでバグがないことを完全に証明するのは難しいため、バグがないと逆に『自分のテストが悪いのではないか』『端末の影響をチェックしきれていないのではないか』と不安になることがあります。
心配性な人ほど、色々な角度からチェックできるため、QAエンジニアに向いているかもしれません。

疑問④「やれることが少ない」は本当か?
ネット上の意見:「やれることが少ない」
テストとバグ報告が中心で、開発者と比べてやれることが少ないのでは?
現役エンジニアの回答:専門性が高いからこそ、関わり方は無限大
QAエンジニアの役割は単なるテスト実施者ではありません。「品質を上げていく」という視点に立てば、業務範囲は大きく広がります。
さっしーさんは、テスト実施以外にも、以下のような業務に関わっています。
- 開発フェーズの改善:QA目線で、開発者が使う基本設計書に必要な情報が漏れていないかチェックし、改修を提案する。
- 過去のバグ分析:OS・端末・実装ごとのバグの傾向を分析し、開発への予防策の提案を行う。
QAはまだ確立しつつある仕事なので、決まった形の仕事がないのが現状です。だからこそ、自分がQA目線でどれだけ関われるかを探し、主体的に『こうしたら品質が上がる』という提案をしていける方に、大きな魅力がある仕事と言えます。

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疑問⑤「人間関係の調整が大変」は本当か?
ネット上の意見:「人間関係の調整が大変」
開発者が一生懸命作ったものに「バグがある」と指摘しなければならないから、人間関係に亀裂が入るのでは?
現役エンジニアの回答:QAの仕事の「肝」はコミュニケーション
開発の方とどうやって信頼関係を作っていくのかがQAエンジニアの業務に直結する仕事であり、人間関係の調整はQAの仕事の根幹かもしれないと思います。
さっしーさんは、バグ報告の際には、「指摘」ではなく「依頼」になるように、「お忙しいところお手数をおかけしますが、ご確認いただけますか」と、丁寧なコミュニケーションを心がけています。
言い方を変えるだけでも、開発の方から『ありがとう』という言葉をいただける機会が増えます。QAエンジニアと開発エンジニアは、お互いにリスペクトを持って一緒に良いものを作っていく仲間という対等の姿勢が大切です。

QAエンジニアに向いている人の特徴
さっしーさんの話から見えてきた、QAエンジニアとして活躍できる人の特徴をまとめました。
- 新しいことの開拓を楽しめる人:
立ち上げフェーズや新しい業務に積極的な提案ができる人。 - 心配性でリスクを見つけられる人:
「もしこの操作をしたら?」「この環境だとどうなる?」と、バグや事故を未然に防ぐことを常に考えられる人。 - 粘り強さと探求心がある人:
単調なテストの中でも、そこから派生する発見を楽しめる人。 - 高いコミュニケーション能力を持つ人
開発者との信頼関係を構築し、「指摘」ではなく「協力」という形で円滑なコミュニケーションが取れる人。
QAエンジニアになるために必要なスキルセット
QAエンジニアへのキャリアチェンジを目指す方のために、具体的にどんな知識やスキルが必要かを補足します。
| スキルカテゴリ | 具体的な内容 | 理由 |
|---|---|---|
| テスト専門知識 | テスト計画、テスト設計、テストケース作成、テスト手法(単体、結合、システム、受け入れなど) | 効率的かつ網羅性の高いテストを実施する基礎。 |
| ドキュメント理解力 | 要件定義書、基本設計書などを正確に理解し、仕様通りに動いているかを検証する力。 | バグを発見し、根拠を示して開発者に報告するために必須。 |
| 論理的思考力 | バグ発生時の再現手順を正確に特定し、開発者に正しく伝えるための分析力。 | 報告の正確さが、開発のスピードに直結します。 |
| コミュニケーション | 信頼関係を損なわないための報告・依頼能力。 | 人間関係の調整が仕事の「肝」となるため最も重要。 |
未経験からスタートする場合、まずはテスト専門知識を体系的に学び、現場で活かせるドキュメント理解力と報告スキルを磨くことが重要です。JSTQB認定テスト技術者資格の取得を目指すのもよいでしょう。
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まとめ:QAエンジニアは専門性が高く、将来性のある仕事
現役QAエンジニアであるさっしーさんの話から、「QAエンジニアはやめとけ」というネガティブな意見は、実態とは異なり、むしろ大きなやりがいと将来性があることが分かりました。
- 将来性がない?
➡品質専門チームのニーズが高まっており、多彩なキャリアパスもある。 - 作業が単調?
➡改善提案や品質向上など、主体的な取り組みで単調さは払拭できる。 - 精神的に疲れる?
➡心配性な人ほど向いており、バグ発見を楽しめるやりがいがある。 - やれることが少ない?
➡テストだけでなく、開発プロセス全体を改善できる専門性の高い仕事。 - 人間関係が大変?
➡コミュニケーションが仕事の「肝」。信頼関係構築がスキルとなる。
システムの複雑化が進む現代において、QAエンジニアはサービスを成功に導くために不可欠なプロフェッショナルです。
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