近年、デジタルプロダクトにおけるUI/UXの重要性が高まり、フロントエンドエンジニアの需要が急増しています。しかし、技術の進化と求められるスキルセットの多様化により、採用の難易度も上昇しています。特に、ReactやVue.jsなどのモダンフレームワークの経験者は市場で引く手あまたとなっており、企業間の人材獲得競争が激化しています。
この記事では、フロントエンドエンジニアの役割や必要なスキル、バックエンドエンジニアとの違い、そして採用難易度が高まる背景と、成功のためのポイントまで網羅的に解説します。
【目次】
フロントエンドエンジニアとは?
フロントエンドエンジニアとは、私たちが普段スマホやパソコンにて実際に目にし、操作する「Web画面」の構築を専門とするエンジニアです。
HTMLやCSS、JavaScriptなどのスキルを駆使し、デザインデータを元にした「UI」の構築や、ブラウザ上で動作する動的な処理(アニメーション・フォーム動作・APIとの連携など)を担当し、快適なユーザー体験「UX」を実現するための開発を担います。
バックエンドエンジニアとの違い
しかし、Web開発に関わるのはフロントエンドエンジニアだけではありません。
ここで密接に関わってくるのが、Web上の裏側のサーバー側の処理やデータベースの管理を主な仕事とする「バックエンドエンジニア」です。
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニア、両者は密接に連携しながらWebアプリケーションを構築しますが、フロントエンドが「見える部分」、バックエンドが「裏側の処理」と覚えるとイメージしやすいです。
そのため、実際の担当業務も以下の通り異なります。
項目 | フロントエンドエンジニア | バックエンドエンジニア |
---|---|---|
担当領域 | ユーザーが触れる画面の実装(UI) | サーバー側の処理・データベース管理など |
主な言語・技術 | HTML、CSS、JavaScript、React、Vue.js など | Java、Python、Ruby、Node.js、SQL、API設計など |
主な役割 | デザインの実装、 ユーザー体験の最適化 | データの処理、ビジネスロジックの構築、セキュリティ管理 |
関連職種との連携 | デザイナー・UX担当 | インフラエンジニア・SRE・ セキュリティエンジニア |
代表的な成果物 | Webページの表示・動作 | データベース操作、APIレスポンス、ユーザー認証機能 |
しかし、近年は慢性的なエンジニア不足のため、フロントエンドエンジニアでありながら、バックエンドエンジニアの領域のサーバー側の処理も行うといった「フルスタック」な面も求められるケースが増えてきており、双方を担当できるエンジニアの市場価値は年々増加している傾向にあります。
マークアップエンジニアとの違い
マークアップエンジニアの役割は「見た目の再現」が中心
マークアップエンジニアは、主にHTML・CSSを用いた静的なWebページの構築を担当します。
デザイナーが作成したFigmaやAdobe XDなどのデザインデータをもとに、レイアウトや色、文字サイズなどを忠実に再現するのが中心的な業務です。
JavaScriptを使う機会はあるものの、アニメーションや簡単なインタラクションにとどまるケースが多く、機能開発や状態管理、API連携などの業務は含まれないことが一般的です。
フロントエンドエンジニアは「機能実装とUX最適化」が求められる
一方で、フロントエンドエンジニアは、HTML・CSSの知識に加え、JavaScriptやReact・Vue.jsなどのモダンフレームワークを用いた開発スキルが求められます。
具体的には、ユーザーの操作に応じてページの内容が変わるSPA(シングルページアプリケーション)の構築や、外部APIとの連携による動的コンテンツの実装などが主な役割です。
UIだけでなくUXまでを考慮した設計・実装や、表示速度・アクセシビリティの最適化も担います。
なお、似た職種として「Webエンジニア」がありますが、Webエンジニアとの違いなどは以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。
▼Webエンジニアについてはこちら!
なぜフロントエンドエンジニアの採用は難しいのか?
近年では、このフロントエンドエンジニアの採用に難航している企業も少なくありません。
その背景には、いくつかの要因が関係しています。
市場における人材の供給不足
デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、Webサービスやアプリケーションの開発ニーズは年々高まっています。
総務省の調査では、国内企業のIT投資は右肩上がりに推移しており、特にSaaS・Webサービス領域ではUI/UX強化を目的としたフロントエンド開発の需要が急増しています。
一方で、IT人材白書などでも繰り返し指摘されているように、日本のIT業界は2023年時点で約40万人規模の人材不足に直面しており、その傾向は2030年にかけてさらに深刻化すると予測されています。
中でもフロントエンドエンジニアは、React・Vueといったモダンフレームワークへの習熟、SPAやアクセシビリティなどへの対応が求められることから、単なるコーダーでは代替できない専門職種となりつつあります。
つまり、「開発ニーズは増えているが、対応できる人材が圧倒的に足りていない」ということがフロントエンド採用が難化している最大の要因となっています。
求められるスキルレベルの高度化
さらに、求められるスキルレベルの高度化も採用を難しくしている一因です。
従来はHTMLやCSSのコーディングが中心だったフロントエンド領域も、現在ではReactやVue.jsを使ったSPA(シングルページアプリケーション)の開発、API連携、表示速度の最適化など、より専門的な技術への対応が求められるようになりました。
また、スタートアップ企業や内製化が進んでいない企業では、即戦力を求める傾向にあります。そのため、教育に時間を割く余裕がないケースも多く、実務経験者やモダンフレームワーク経験者に絞った採用が主流となっています。
フルスタック化の傾向により、定義が曖昧で要件が複雑化
加えて、職種定義の曖昧さも課題です。「フロントエンドエンジニア」と一口に言っても、企業によってはUI実装が中心であったり、逆にバックエンド領域やデザイン領域も含むフルスタックの対応が求められたりする場合もあったりと、担当範囲が企業ごとに大きく異なります。
その結果、採用側と候補者側とのミスマッチが起きやすくなっています。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
上記では、フロントエンドエンジニアの担当領域を大枠として解説しましたが、以下ではより細かく仕事内容について解説していきます。
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、一言で言えば「Web画面の構築」ですが、実際の作業は多岐にわたります。
デザインデータの実装
デザイナーが作った画面の設計図(例:FigmaやAdobe XD)を、Web上にそのまま再現します。色やレイアウト、文字の大きさなどを正確に組み立てます。
インタラクションの実装
ボタンを押したときに色が変わる、画面が切り替わるなど、ユーザーの操作に反応する「動き」をつけます。より快適でわかりやすい操作感を作る仕事です。
JavaScriptによる動的処理の実装
ページを切り替えずに内容を変えたり、クリックで情報を取得したりと、Webサイトを「動く仕組み」にする仕事です。たとえば「ログイン後に名前が表示される」などの機能を担当します。
レスポンシブデザイン対応
パソコン・スマホ・タブレットなど、見る人の端末に合わせて画面を自動で見やすく整える作業です。どんなデバイスでもストレスなく使えるようにすることが、UX向上のためにも必須といえる作業です。
アクセシビリティ対応
色の見え方や操作のしやすさに配慮し、誰にとっても使いやすい画面を作ります。目が不自由な方のための音声読み上げにも対応することがあります。
ページ表示速度・パフォーマンス最適化
Webページがすぐに表示されるように、画像のサイズを小さくしたり、不要な動作を減らしたりします。ユーザーが「遅い」と感じない工夫も、ユーザー体験の向上には欠かせません。
フレームワークの活用
「React」や「Vue.js」といったフレームワークと呼ばれるツールを使うことで、「効率よく」きれいなコードでWeb画面を作ります。作業の効率を上げることはもちろん、チームでの作業や後の修正がしやすくなるというメリットがあるため、必須のスキルです。
UIコンポーネントの再利用設計
頻繁に使うパーツ(ボタン・入力欄など)を事前に保存してまとめておくことで、他の画面でも使い回せるようにします。開発のスピードも上がり、修正箇所があればコンポーネントを編集すればすべて適用されるため、人為的なミスの削減にもつながります。
フロントエンドエンジニアに必要なスキル
以上の仕事内容に取り組むためには、以下のようなスキルやツールを使えることが必須です。
具体的に必要なスキルや使われているツールなどは、企業によって異なるため、自社のサイトやサービスがどのスキルやツールを使っているのか、事前にリサーチしておく必要があります。
スキルカテゴリ | 具体的な技術・ツール | 説明 |
---|---|---|
フロントエンドの基本技術 | HTML5、CSS3、JavaScript、TypeScript | Webページの「構造・見た目・動き」をつくる基礎的な言語 |
フレームワーク | React、Vue.js、Angular | Web開発を効率化する「型」のようなツール。最近の開発では必須 |
状態管理 | Redux、Vuex、MobX | 画面内の情報(ログイン状態など)を正しく保つための仕組み |
バージョン管理 | Git、GitHub、GitLab | 複数人で安全に開発するための履歴管理ツール |
テスト・保守運用 | Jest、Cypress、Storybook | 作った画面が正しく動くかを確認するための自動テストツール |
UI/UX設計 | Figma、Adobe XD、Sketch | デザインツール。使用自体はほぼないが、これらを見て画面を構築するため一定の知識は必要 |
採用成功のためのポイント
フロントエンドエンジニアの採用が難しくなっているからこそ、従来の採用手法だけではなかなか成果につながりません。採用の成功率を高めるためには、いくつかの工夫や視点の転換が求められます。
求めるスキル・役割の明確化
最初に意識すべきポイントは、「自社が本当に必要としている人材像を明確にすること」です。単に「フロントエンド経験者がほしい」といったざっくりしたイメージで求人した場合、条件に合った候補者が来なかったり、せっかく採用しても採用者とのミスマッチが生まれてしまう原因になりかねません。
たとえば、以下のような観点から具体的に言語化することが大切です。
どんな技術を使っているか?
業務の範囲はどこまでか?
どのレベル感の人を想定しているか?
これらの情報を求人票や面談の場でしっかり共有することで、「やりたい仕事」と「任せたい仕事」のミスマッチを防ぐことにつながります。
アウトプットを通じた見極め
フロントエンドエンジニアの実力は、履歴書や職務経歴書だけではなかなか見極めづらいものです。なぜなら、同じ「3年の経験」といっても、扱ってきた技術や関わった工程、アウトプットの質は人によって大きく異なるからです。
たとえば、多くのエンジニアは「GitHub(ギットハブ)」というツールで、自分のコードを公開していたり、ポートフォリオサイトに過去に作ったWebページやアプリを掲載しています。
たとえば、自己紹介ページだけのポートフォリオといった静的ページよりも、ログイン機能やフォーム入力など、「動きのあるページ」の制作経験がある人の方が実践力が高い傾向にあります。
もちろん、技術的な細かい部分まで読み解く必要はありませんが、どんなものをどのレベルで作っているかを見るだけでも、選考の参考になります。現場のエンジニアに一緒に見てもらいながら判断するのもおすすめです。
採用チャネルの柔軟な活用
正社員採用にこだわらず、副業・フリーランス・業務委託・正社員型派遣など、柔軟なチャネルを活用することで人材確保の可能性が広がります。短期のプロジェクトやアジャイル開発前提のスピード感が求められるプロジェクトなどでは、こうした手法が特に効果を発揮します。
副業・兼業のエンジニアに協力してもらう
週1〜2日の稼働や、夜間の作業など限られた時間でも、専門性の高い業務をお願いすることが可能です。スタートアップや新規開発のスポット支援にも適しています。
フリーランスや業務委託として外部人材を迎える
特定の開発フェーズ(例:UIリニューアルや新機能追加)など、一定期間だけスキルのある人材を確保したい場合に有効です。経験豊富なプロ人材に即戦力として活躍してもらえます。
正社員型派遣の仕組みを活用する
実務経験のあるエンジニアを、一定期間フルタイムで受け入れることができます。雇用リスクを抑えながら、期間を気にせず、スピーディに開発力を補強できるのが特長です。将来的に内製化を検討している場合にも、正社員型派遣は有効的な外部活用手段です。
それぞれの活用方法については、以下に解説していますので、合わせてご覧ください。
▼正社員型派遣についてはこちら!
ラクスパートナーズの正社員型派遣の成功事例
ここでは、ラクスパートナーズのフロントエンドエンジニアの参画事例を一部ご紹介します。
課題
成果
課題
成果
まとめ
フロントエンドエンジニアの採用は、技術の進化と市場の変化により難易度が増しています。
しかし、求める人材像の明確化や柔軟な採用戦略の導入により、優秀な人材の確保は可能です。外部パートナーの活用も視野に入れ、採用活動を戦略的に進めることが求められます。
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