独立行政法人情報処理機構(IPA)が発表している「DX動向2025」によると、日本企業の約8割が何らかの形でDXに取り組んでいる一方で、成果を実感しているのは6割弱にとどまるという結果が示されています。これは米国・ドイツの8割以上という成果率と比べると大きな差にあたります。
このように、DX推進を掲げている企業の中でシステム導入やデータ基盤整備までは進んだものの、その先のデータ活用・事業変革に踏み込めていないというケースは少なくありません。
本コラムでは、IT企業のDXが止まる根本要因を整理したうえで、解決策として注目されている「データサイエンティスト外注」という選択肢について解説します。
【目次】
日本企業のDX進捗の実態
多くの日本企業に共通しているのは、DXに向けた取り組みが「基盤整備」の段階で止まっている点です。業務システムの刷新やクラウド移行、データ基盤の構築といった施策は一定程度進んでいるものの、それらを活用して意思決定や事業の進め方を変えるところまでは踏み込めていません。
「中小企業白書2024」でも、DXに取り組む企業が増加する一方で、データ活用による業務改善や、ビジネスモデルの変革まで到達している企業は限られていることが示されています。多くの企業は、データを「蓄積する」「可視化する」段階にとどまり、「活かして成果を出す」段階には進めていないのが実態です。


DXが止まる要因
前章で見たとおり、多くの企業はDXに取り組んでいるものの、成果創出の段階で足踏みしています。ここでは、日本企業のDXが途中で止まってしまう代表的な要因を整理します。
PoCで止まり、事業実装に進まない
DXに取り組む企業の多くは、まずPoCとしてデータ分析やAI活用を試みます。しかし、その結果をどの業務に適用し、どの指標を改善するのかが明確に定義されないままプロジェクトが進み、検証段階で止まってしまうケースが少なくありません。
分析結果が出ても、現場の業務や意思決定が変わらなければ、DXは前進しません。
ツール導入が目的化している
BIツールやAIプラットフォームの導入によってDXが進んだと認識してしまうことも、停滞の大きな要因です。ツールはあくまで手段であり、導入しただけでは成果は生まれません。
活用方法や意思決定への組み込みが設計されないままでは、次第に使われなくなり、DXは形骸化していきます。
データ活用を「丸投げ」してしまう
社内に人材がいないことを理由に、データ活用を外部に委託する企業もあります。しかし、分析作業だけを切り出して任せるやり方では、社内に知見やプロセスが残りません。
短期的にはアウトプットが得られても、改善を回し続ける体制が構築されず、DXは一過性の取り組みで終わってしまいます。
これらの要因に共通しているのは、データを事業の意思決定や施策に翻訳する役割が欠けている点です。DXを止めているのは技術不足ではなく、データとビジネスをつなぐ機能が社内に存在しないことにあります。この役割を担う存在として、次に整理すべきなのがデータサイエンティストです。
データサイエンティストとは
データサイエンティストは、蓄積されたデータを分析し、そこから得られた示唆をビジネスの意思決定や改善施策につなげる専門人材です。統計解析や機械学習といった分析スキルに加え、業務理解や課題設定力を持ち、データをどのように使えば成果が出るのかを設計する役割を担います。
単に数値を可視化したりモデルを作ったりするだけでなく、その結果をどの業務に適用し、どの指標をどう変えるのかまで落とし込む点が特徴です。DXにおいて求められるのは「分析できる人」ではなく、「分析結果を行動に変えられる人」だと言えます。
Aデータサイエンティストの詳細についてはこちら
AIエンジニアとの違い
AIエンジニアは、主にアルゴリズムの実装やシステムへの組み込みを担います。一方、データサイエンティストは、そもそも何を分析すべきか、どのようなデータを使えば課題解決につながるのかといった上流の設計に関わる点が大きな違いです。
DXが止まりやすいポイントは、まさにこの上流設計の部分です。データサイエンティストは、データとビジネスの間に立ち、DXを事業成果につなげる橋渡し役を担います。
AI・機械学習エンジニアについてはこちら
データサイエンティストは採用ではなく、外注?
データサイエンティストの重要性は理解できても、実際に社内で確保するのは簡単ではありません。ここでは、採用という選択肢がなぜ現実的に難しいのかを整理します。
データサイエンティストの採用の難化
近年、DX推進を行う企業が増加したことで、データサイエンティストの採用はより困難になっています。ハローワークの求人統計データによると、データサイエンティストの東京都での有効求人倍率は11.88(2026年2月時点)となっており、同様に東京都での「プログラマー」の有効求人倍率2.29と比較した際、企業にとっては各段に確保しにくいエンジニア職の1種であることがわかります。
参考URL:データサイエンティストのハローワーク求人統計データの有効求人倍率
希望スキルを持つ即戦力人材が市場に少ない
採用が難しい理由は市場内にいる人数の問題だけではありません。
データサイエンティストには、統計や機械学習といった分析スキルに加え、データ前処理、業務理解、施策への落とし込みまでを担う上流寄りの実務能力が求められます。
しかし、こうしたスキルセットを一通り備えた即戦力人材は限られており、採用できたとしてもDX推進にすぐ活かせるとは限りません。
採用・育成はDXのスピードと合わない
仮に採用できたとしても、社内業務やシステム構成を理解し、DX推進の中核として機能するまでには時間がかかります。データサイエンティストの育成には長期的な視点が必要であり、短期間で人材不足を解消する手段にはなりにくいのが実情です。
変化の速い市場環境の中でDXを進める企業にとって、採用と育成だけに頼る戦略は現実的とは言えません。
こうした背景から、必要なスキルを必要なタイミングで活用できる外注という選択肢が、現実的な代替案として注目されています。
伴走型のデータサイエンティスト外注とは
採用が難しい中で外注という選択肢が注目されていますが、DX文脈で重要なのは「どのように外注するか」です。ここでは、DXを前に進めるための伴走型データサイエンティスト外注について整理します。
従来型の外注との違い
従来のデータ分析外注は、分析作業やレポート作成を切り出して依頼するケースが一般的でした。この方法では短期的なアウトプットは得られるものの、分析の背景や判断プロセスが社内に残らず、DXの継続性という点では課題が残ります。
一方、伴走型のデータサイエンティスト外注では、外部人材がプロジェクトに深く関与し、課題設定から分析、施策への落とし込みまでを社内メンバーと一緒に進めます。単なる作業委託ではなく、DX推進チームの一員として機能する点が大きな違いです。
DXを前に進める役割を外部で補完する
DXが止まる要因として挙げられていたのは、データを事業に翻訳する役割の不在でした。
伴走型外注は、この役割を外部の専門人材で補完するアプローチです。データサイエンティストが意思決定プロセスに関与することで、分析結果が具体的な施策や業務改善につながりやすくなります。
また、外部人材であるがゆえに、社内の前提にとらわれない視点を持ち込める点もメリットです。客観的な立場からデータを解釈し、DXの打ち手を整理できるため、プロジェクトの停滞を防ぐ効果が期待できます。
内製化につながる外注という考え方
伴走型外注のもう一つの特徴は、内製化と両立できる点です。プロジェクトを進める過程で、分析の進め方やデータ設計、意思決定への落とし込み方を社内に共有できるため、知見が徐々に蓄積されていきます。
外注を一時的なリソース補填として使うのではなく、将来的な内製化に向けたステップとして位置づけることで、DXを継続的に回せる体制づくりにつながります。
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データサイエンティスト外注で得られる3つのメリット
自社でデータサイエンティストを採用・育成するには、時間もコストもかかり、しかも市場における競争は激化する一方です。
そうした中、外部のプロフェッショナルを活用することで、必要なタイミング・領域に、最適なスキルセットをスピーディに投入できるという外注の強みが際立ちます。
① スピードを重視したDX推進が可能
外注を活用する最大のメリットは、立ち上がりの速さです。採用や育成を待つことなく、要件定義から実装までを短期間で推進できます。市場環境の変化が激しい現代において、このスピード感は大きな競争優位となります。
② 再現性のあるデータ活用基盤を構築できる
外部のプロフェッショナルが関与することで、分析手法やデータ設計、運用プロセスが体系化されやすくなります。属人化を防ぎ、他プロジェクトや他部門へ横展開可能な再現性の高い仕組みを構築できる点も大きなメリットです。
③ 内製化と両立できる伴走型支援
伴走型外注では、社内メンバーがプロジェクトに関与しながら進行するため、スキル移転と内製化準備を同時に進めることが可能です。外注を一時的なリソース補填ではなく、将来の内製化につなげる戦略的手段として活用できます。
「データサイエンティストの外注」ならラクスパートナーズ
ラクスパートナーズでは、AI・機械学習領域の人的支援も行っており、若手~ベテラン層まで数多くのデータサイエンティストが在籍しております。
ここでは実際のデータサイエンティストの参画事例を一部抜粋してご紹介します。
大手通信会社「キャリア決済事業におけるデータ活用・事業管理支援」
同社ではキャリア決済事業を展開しており、取引量・顧客数の増加に伴って、収益構造が複雑化していました。事業管理に必要なデータは膨大で、日々の数値集計や資料作成に多くの工数が割かれており、十分にPDCAを回せていない状況が課題となっていました。
また、データを正しく整理・分析し、意思決定につなげる専門人材が必要でしたが、社内での確保が難しく、データ活用が属人化・停滞していました。
まとめ
日本企業のDXは、取り組み自体は進んでいるものの、データ活用や事業変革の段階で止まっているケースが少なくありません。その背景には、データを意思決定や施策に結びつける役割が不足しているという共通の課題があります。
データサイエンティストは、その役割を担う重要な存在ですが、採用による内製化は人材不足や時間的制約から容易ではありません。そこで、DXを前に進める現実的な選択肢として、伴走型のデータサイエンティスト外注が注目されています。
自社のフェーズに合わせて外部の専門性を取り入れることが、DXを止めないための一つの方法と言えるでしょう。






