エンジニアの人手不足問題の原因と対策方法を解説

この記事は約 1 分で読めます。

IT人材

少子高齢化により国内全体で現役の働き手が足りていない現在、IT業界で噂される深刻なエンジニア人材の不足は嘘ではありません。IoTやAIをはじめとする最新分野の普及が進む中で、ITエンジニアの需要はさらに高まり、人手不足は今後ますます深刻化する見込みです。

近年は特に、業界を問わず多彩なスキルや希少性を持つ優秀なエンジニアが求められています。ITエンジニア獲得を目指す企業にとって、優秀な人材をいかにして見つけ出すかが今後の課題です。また、採用時に自社とのミスマッチが生じてしまうと、苦労して獲得した人材がすぐに離職してしまいかねません。

そこで今回は、ITエンジニアがなぜ不足しているのかを解説したうえで、有効な対策方法を解説します。採用のミスマッチを防ぎ、人材の確保・定着を促すためのコツも紹介しますので、ITエンジニアの獲得競争に後れをとりたくないと考えている企業の方はぜひご一読ください。

IT業界はエンジニアの人手不足に陥っている?

昨今、IT業界は全体的にエンジニアが足りていません。状況が把握しやすくなるよう、公開されている次の2つのデータから、IT業界の現在を読み解いていきましょう。

  • ITエンジニアの有効求人倍率
  • ITエンジニアは不足する見込み

ITエンジニアの有効求人倍率

東京ハローワークの調べによると、2023年7月時点において、エンジニアなどのIT技術関連従事者の有効求人倍率は3.06倍です。同時期の全職業の平均は1.48倍であり、比較すると高い水準であることがわかります。

ITエンジニアの有効求人倍率は、2017年から4倍前後をキープしてきました。新型コロナウイルス感染症流行の影響で全体の求人が減った2020年〜2021年でも2倍以上あり、全体が1倍程度に留まっていることを考慮すると高水準です。落ち込んだ有効求人倍率は2022年から回復の兆しを見せ、右肩上がりに推移していくと予想されます。

出典:【東京】職業別有効求人・求職状況(平成29年度)|東京ハローワーク

ITエンジニアは不足する見込み

ITエンジニアの人手不足は、今後ますます深刻化する見込みです。経済産業省が公開したデータによると、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施したアンケート調査結果を基準にした場合、ITエンジニア業界では2030年にまでに約79万人の人手が足りなくなるとの試算がなされています。現在の日本の総エンジニア数は125万人程度とも言われるため、不足数がどれだけ大きいのかが分かります。

IT需要との関連性が高いと考えられる国内の実質GDP等の伸びに準じて試算すると、ITエンジニアの人材不足は約45万人です。IPA調査結果とGDPの伸び率との中間をとった場合でも、16万人以上のエンジニアが不足すると推定されます。

また、今後は本格化するであろうAI(人工知能)やビックデータ、loTをはじめとする第4次産業革命の到来を見越し、新たな付加価値や生産性の向上を生み出す最新先端技術の担い手の確保が急務です。少子化による現役世代の減少もふまえると、先端IT人材の需要が急増するでしょう。

参考:-IT人材需給に関する調査-調査報告書|経済産業省

エンジニアの人手不足の原因

そもそも、ITエンジニアはなぜ不足傾向にあるのでしょうか。需要に対するITエンジニア人材の供給が足りない主な理由は、以下の4つです。

  • IT人材を求める業界が拡大している
  • 技術革新のスピードが速い
  • 仕事がきついというイメージがある
  • 第一線で活躍するまでに時間がかかる

世界的な動向として、IT業界は成長産業です。売り手からすると、引く手数多で高収入が狙える魅力的な求人市場でしょう。それにもかかわらず人手が足りないのは、IT人材需要が業界を超えて拡大していることに加え、習得が難しく多忙な職務内容に対する抵抗感が大きく関わっていると考えられます。

不足の原因を正しく把握していなければ、人材確保の強化は困難です。上記の各要因の詳細を知り、ITエンジニア求人に対する理解を深めていきましょう。

IT人材を求める業界が拡大している

現代は、インターネット環境やスマートフォンを持たない人がほとんどいない時代です。各種アプリケーションやゲームなどのコンテンツ配信には、ITエンジニアの存在が欠かせません。また、現代はIT業界だけではなく、幅広い分野でITが活用される時代になりました。

介護や事務など、一見ITが関係ないように思える業種にも、最先端技術を取り入れるDX(​​デジタルトランスフォーメーション)の動きが強まっています。ところが、肝心の人材供給は依然として変わらない状況です。需要の拡大に対し、供給が間に合っていないことが、ITエンジニアの求人増加に大きな影響を与えています。

技術革新のスピードが速い

エンジニアとして活躍するためには、たゆまぬ努力や向上心が求められます。ITが発展するスピードは日進月歩であり、すぐに新しい局面へと移行するためです。現状に満足せず、最先端のスキルの習得を目指して常に学び続けなければ、クライアントや消費者の要望に応えられません。

また、進化するIT技術を使いこなすためには、前例にならうだけでは不十分です。クラウドや複雑な新言語、データ解析など、勉強すべき範囲もどんどん拡大します。今後新たなIT革命が起こる可能性も大いに考えられることから、高い学習能力を備えたエンジニアでないと変化についていけないでしょう。よって、ITエンジニア業界は新人の参入が困難です。ITエンジニアを目指して基本的なスキルを習得し、希望通りに就業できたにもかかわらず、すぐに辞めてしまうことも珍しくありません。

仕事がきついというイメージがある

インターネット上の書き込みや経験者の話などから、ITエンジニアはネガティブな印象を持たれがちです。業務量と報酬が見合っておらず、深夜残業や休日返上での連続勤務が当たり前のようにまかり通っているとイメージしている方も多いでしょう。たしかに、ITエンジニアにとって労働環境がよくないブラック企業がないとは言い切れません。過去には、一部の開発現場で勤務時間が月300時間を超え、心身の健康を損なう過酷な状況が問題視されていました。

しかし、近年の働き方改革により、ITエンジニアの労働環境は改善傾向にあります。社員のワークライフバランスの充実こそ生産性の向上につながると捉えられ、適切なマネジメントを重視する企業も増加しています。ITエンジニアに対するイメージを払拭し、求人への応募を促すためには、IT業界の現状を積極的にアナウンスすることが大切です。

第一線で活躍するまでに時間がかかる

ITエンジニアになれたからといって、すぐには活躍できないことも、エンジニア職が忌避されやすくなる一因です。有効求人倍率の多さからもわかる通り、最低限の知識さえ身につけていれば、ITエンジニアになること自体は難しくありません。しかし、一人前の技術者と認められ、第一線で活躍するためには、豊富な知識とある程度の実務経験が求められます。

ITエンジニアの経験者であれば、即戦力として重宝できるでしょう。しかし、実務経験がない新人には、時間をかけて幅広いスキルを習得することはもちろん、必要に応じてスクールに通いながら学習してもらわなくてはなりません。

また、一般的なITエンジニアの給料は低い傾向にあります。平均年収を見ると比較的高い水準ですが、高収入が期待できるのは、需要や希少性の高いスキルを有する一部のエンジニアのみというのが実情です。新人や下請け企業に勤務するITエンジニアが得られる収入は、決して高くはありません。新人であっても激務であることには変わりないにもかかわらず、十分な対価が得られなければ、なり手が少ないのも無理はないでしょう。

エンジニアの人手不足への対策

ここまでの説明で、業界を取り巻くさまざまな要因から、国内のITエンジニアが不足していることをおわかりいただけたと思います。人材を解消するためには、採用側が積極的に対策を講じることが重要です。

具体的な方策としては、以下の4つの手段が挙げられます。

  • 自社で人材を育成する
  • 採用要件を見直す
  • オフショア開発を検討する
  • アウトソーシングを活用する

上記の各対策法の特徴を把握し、自社における人材確保戦略としてどのような対策が有効かを見極めましょう。

自社で人材を育成する

これからのIT業界の進歩に対応していくためには、従業員への教育を徹底することが重要です。一般的に、ITエンジニアを採用する際には、多くの企業が実務経験や高いスキルを有している人材を求める傾向が強いといえます。

しかし、ITエンジニアの求人市場は激化しているので、もともと優秀な人材を外部から確保するのは困難を極めます。自社が欲しいと思うようなハイスキルの人材は、多くの場合、他社からのアプローチも受けています。よって、自社で働くことに対するわかりやすい魅力を提示できなければ、興味を持ってもらえません。

そこで、もし現状のまま従業員の質をアップデートすることができれば、外部からの採用に頼る必要がなくなります。社内研修やスキルアップの補助や優遇制度などを充実させなければならないとはいえ、新たに元々ハイレベルな人材を大勢増やすよりも低コストです。

また、潜在的な能力や人柄などに着目し、優秀な人材となりうるポテンシャルの高い新人を採用することも有効な人材確保手段だといえます。現時点での能力は未熟もしくは未経験だとしても、潜在能力が高ければ将来的に大きな戦力となり、人材の充実が期待できるでしょう。

採用要件を見直す

給与や手当、休暇など、充実した労働環境に改善すれば、即戦力となる優秀な人材が集まる可能性が高まります。思うように人材が集まらないのは、現在の採用要件に問題があるのかもしれません。同様の職務内容の求人なら、より条件が良いほうに人材が流れるのは想像に難くないでしょう。

ITエンジニアの確保を目指すのであれば、まずは求人市場の動向を把握することが大切です。自社が求める人材にはどの程度の待遇が一般的なのかを見極めないことには、需給のミスマッチが生じ、人材の定着を妨げる恐れがあります。ITエンジニアが求める労働条件を明確にし、他社より魅力のある採用要件を設定することで、効率的にITエンジニアを集められるでしょう。

また、ITエンジニアとは、場所に限定されずに自由な働き方ができる職業です。社内での勤務に限定されてしまうと、ITエンジニアの強みを最大限に発揮できません。フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟な働き方を推進すれば、労働者にとって魅力的な環境をアピールできるうえ、潜在労働力の活用にもつながるでしょう。

オフショア開発を検討する

国内でのITエンジニアの確保が難しいのであれば「オフショア開発」で海外の人材に目を向けるのも一つの手です。オフショア開発とは、国外の企業に開発を委託することを指します。

国際化が進む現在では、就業機会の拡大を目指し、IT教育に注力している国も少なくありません。オフショア開発を実行することで、国内だけではまかなえない人材を手に入れられるでしょう。

ただし、オフショア開発では海外とのやり取りが必須です。言語や文化のちがいから、コミュニケーションが難しく、指示や意図がうまく伝わらない可能性があります。そのうえ、宗教・政治的な問題から、紛争や反日デモが勃発するリスクも否めません。

そのため、オフショア開発を検討する際は、日本文化への理解度の高さを重視し、余裕を持たせたスケジューリングを行うことが必要です。オフショア開発の支援やコンサルティングを提供するサービスもあるため、必要に応じて活用するのもよいでしょう。

アウトソーシングを活用する

自社の力だけではすべてをまかなえない業務は「アウトソーシング」に頼ることも必要な場合があります。アウトソーシングとは、簡潔に言うと「業務の外注」です。前項のオフショア開発もアウトソーシングの一種ですが、国内への業務委託は「ニアショア」と呼ばれます。全業務を派遣会社に委託する「フルアウトソーシング」のほか、一部のプロセスのみを外注することも可能です。また、近年はフリーランスのITエンジニアにも、優秀な人材が数多く存在しています。

これまでの説明の通り、スキルと実務経験を持つ優秀な人材の採用は簡単にはいきません。かといって、新人や従業員に教育を施してレベルアップを促すのは、時間とコストがかかります。よって、ITの進歩が目まぐるしく、エンジニア不足が叫ばれる昨今において、自社単位のみで人材確保を狙うのは非効率です。

そこで、アウトソーシングを活用すれば、教育コストをかけずに高い技術力を持ったエンジニアを確保できます。高度な分野は専門知識を持つ外部のノウハウに任せることで、自社の従業員をコア業務に集中させられるため、手軽に効率化が図れるでしょう。アウトソーシングでは、ニーズやプロジェクトの内容に合わせて最適な人材を配置することもできるので、顧客満足度もアップします。

エンジニアの人手不足解消のコツ

前章では採用側で行えるITエンジニア獲得方法を紹介しましたが、ただやみくもに対策すればよいというわけではありません。現代のITエンジニア業界で優秀な人材を確保するためには、採用時に専門的なノウハウを駆使することも必要です。ここでは、自社が求めるITエンジニアを効率的に集めたいときに使えるコツを2つお伝えします。

  • 自社のエンジニアと協力して採用活動を行う
  • 求職潜在層にアプローチする

上記のコツをそれぞれ解説しますので、採用方法を見直す際にぜひ参考にしてみてください。

自社のエンジニアと協力して採用活動を行う

新規採用の際、自社のエンジニアに協力してもらうことは、採用要件の調整や優秀な人材の選別に役立ちます。労働者が魅力的に感じる採用条件を提示するためには、ITエンジニアの価値を正しく理解していなければなりません。しかし、人事権を持つ経営者や採用担当者がITに明るくない場合、優秀なエンジニアに共通する特徴を見極めるのは困難です。

習得しているスキルが豊富なITエンジニアは、一見すると即戦力になれるように思えるかもしれません。しかし、必ずしも自社の現場に適しているとは限らず、採用する企業の現場では思うように活躍できない場合があります。

そこで、実際に従事するITエンジニアに意見を求めれば、自社と採用される側とのミスマッチのリスクは最小限です。自社の業務に必要なスキルやポテンシャルの正確な見極めは、同じITエンジニアにしかできません。

自社エンジニアもしくは技術操作の経験がある従業員を人事部門に配置し、求人票に掲載する労働条件の設定に加え、面接や実技テストにも参加してもらうことをおすすめします。ただし、新規採用のITエンジニアばかりを厚遇すると、社内のITエンジニアが離職するきっかけとなりかねません。今後の採用要件だけではなく、現在従事している自社エンジニアの待遇を向上させることも忘れないように注意しましょう。

求職潜在層にアプローチする

効率的に優秀なITエンジニアへアプローチするためには、求職潜在層に目をつけることも必要です。実のところ、一般的な転職サイトで優秀なITエンジニアを見つけるのは簡単ではありません。なぜなら、IT企業なら誰でも欲しがるようなITエンジニアは、企業側から好条件で囲い込まれていたり、積極的にアプローチされたりするケースが多いためです。優れたエンジニアは自ら積極的に行動する必要性がないことが原因で、人材の流動性は非常に低いと言えます。転職市場にいるエンジニアは、全エンジニア数の10%とも言われるほどです。

逆に言えば、求職潜在層へ効果的にアプローチできれば、優秀な人材を引き抜くことが可能です。一般的な求人サイトには現れないITエンジニアを採用する代表的な手段として、以下のようなテクニックが挙げられます。

  • リファラル採用
  • ダイレクトリクルーディング
  • ミートアップ

リファラル採用

「リファラル採用」とは、自社の従業員や信頼できる外部の取引先などから候補者の紹介を受ける求人手法です。採用にかかる時間とコストを節約できるだけではなく、自社をよく知る相手から信頼性の高い人材を紹介してもらえるため、需給双方のミスマッチも起こりにくいといえます。

ダイレクトリクルーティング

「ダイレクトリクルーティング」とは、企業が各候補者に採用を直接打診する採用方法です。一般的な求人サイトやエージェントを仲介するのではなく、メールやSNSなどを通して優秀な人材をスカウトします。近年普及しつつある新しい採用方法ですが、ダイレクトリーディング専門の求人サイトなども登場しており、需給両者にとって採用の機会が広がっています。

ミートアップ

「ミートアップ」とは、共通の目的を持つ人材を募り、お互いに交流することで採用につなげる手法です。開催の形態は勉強会や交流会などさまざまであり、主にSNSや求職サイトを介して参加者にアナウンスします。ミートアップでは、候補者の顔や様子を見ながら自社のニーズに合致する人材が見つけられることに加え、候補となるエンジニアに自社の方針や風土への理解を促すことが可能です。

上記手法を活用しながら求職潜在層にうまくアピールできるかどうかで、今後ますます加熱が予想されるITエンジニアの獲得競争の勝敗が左右されるでしょう。

まとめ

ITエンジニアの人材不足は、社会全体における需要の拡大が大きく影響しています。ニーズが高いにもかかわらず、業務や業界へのマイナスイメージや、高いスキルと学習能力が必要で時間もかかることも、需給の不一致に拍車をかける要因です。

現状の自社のリソースやポテンシャルの高い未経験者を重用するほか、ITエンジニアにとって魅力的な企業となるような採用要件を設定することで、優秀な人材の獲得が今より容易になるでしょう。自社だけでは人材確保が難しい場合は、オフシェア開発やアウトソーシングで外部の人材の力を借りることもおすすめです。

また、採用する企業と候補者とのミスマッチは、実際の業務をよく知る自社エンジニアに候補者の見極めを協力してもらうことで最小限に抑えられます。自社のみの採用活動に行き詰まりを感じたときは、最近注目されている求人手法を採用し、求職潜在層に直接アプローチして候補者の母数を増やすこともぜひ検討してみてください。

\優秀なITエンジニアが楽々みつかる/
ITエンジニア派遣ならラクスパートナーズ

ITエンジニア不足のよくあるお悩み

  • 募集を出しても経験者を採用できない
  • 未経験の社員を育成する教育体制がない
  • 急遽ITエンジニアが必要になったが、人材が見つからない
  • 請負や登録型派遣では、求めるスキルがあるか不安
  • 外注ではセキュリティや商流が心配

私たちの生み出したITエンジニアが御社のIT課題を解決!

ラクスパートナーズは、自社で採用・育成したITエンジニア社員を常駐派遣。
Web開発、QA、インフラ、機械学習、データサイエンティストなど、
それぞれに特化した人材がいるから、どんなご要望にも即戦力で活躍する
ITエンジニアをご提案できます。DX推進にも貢献します!

カテゴリから記事を探す